" 銀行家であって資産家でもあったヴァールブルクは、1925年にハンブルクに借財と私財を投じて「ヴァールブルク文化科学図書館」をつくる。ゲルハルト・ラングマークとフリッツ・シューマッハーの設計である。玄関には記憶の女神ムネモシュネの名が刻まれた。いわゆるヴァールブルク文庫の登場だ。  1階が楕円のホールや閲覧室である。ヴァールブルクはずっと「楕円による円の克服」を、すなわち「バロックの知」を主張していたから、なんとしてでも円を超える楕円にこだわった。書架書棚の構成は2階が「イメージ」、3階が「コンフィギュレーション」、4階が「ワード」、5階が「アクティビティ」にあてられた。かつてフランシス・イエイツがぼくに教えてくれた構想だ(第417夜)。  こうしたヴァールブルクの書物配列によるプログラムには、すでにそこから導かれうる「方法の予知」が告示されていた。"

松岡正剛の千夜千冊『イコノロジー研究』エルヴィン・パノフスキー